「アカリタイトル1」スペシャルインタビュー

LITTLE


 


スペシャルインタビュー
 

“a.k.a. LITTLE”に愛(i)をひとつ加えて、akali title=アカリタイトル。
日々の暮らしの中で見つけた気付き、自分(I)の胸裡にともった灯りを
多彩な音と巧みなライミングで綴った待望のカムバック作!

Interview&Text:猪又孝(DO THE MONKEY)

——今回はどんなアルバムをめざしたんですか?

LITTLE:アイドリングなしというか、気持ちの入った曲をどんどん入れていこうと思ってました。バランスを取る必要もないくらいのものをやろうって。

——前作『“YES” rhyme-dentity』から約6年ぶりのリリースですが、その間にはULやアスタラビスタの活動も始まりました。アルバムはいつ頃から作り始めていたんですか?

LITTLE:2年くらい前からネットに曲を上げたりし始めて、実際にアルバムを作ろうと思ったのは去年の10月くらい。でも、収録曲の半分くらいはずっと頭にあった曲で。「ROCK IN JAPAN FES. 2010」でソロでやってた曲もあるし、構想はわりと日々考えてたっていう感じです。

——『アカリタイトル1』というアルバムタイトルはどんな思いから?

LITTLE:自分が放つ光は灯りくらいというか。俺はヒップホップのアンダーグラウンドな部分を背負ってるほど真っ黒・真っ暗な感じじゃないし、かといってピンスポを一身に浴びるスターみたいなまぶしい光も持ってないし、って思っていて。普通の友達もいっぱいいて、っていうその感じが自分だから、そういう自分と同じ人の力になったり、心を揺さぶるような灯りになればなぁと思って。あとは"a.k.a LITTLE”のアナグラム的な発想もありますね。

——リード曲の「愛はある」は、「ROCK IN JAPAN FES. 2010」で披露されていた歌ですね。

LITTLE:そう。だけど、サビ以外は全部新たに歌詞を書いてて。

——もともとはどんなきっかけで作った曲なんですか?

LITTLE:当時、後輩の30歳くらいのヤツらが群れを成して一気にラップをやめていく時期だったんですよ。就職して、結婚のことも考えて、みたいな。そういう人間がとにかく周りに多くて。

——夢や理想を追いかけてる一方で現実も見えてくるっていう感じだったのかな。

LITTLE:たぶん。そういうムードの中にいて自分ももちろん考えるし。でも、今日はみんなで楽しく飲んでるし、ラップの話をすげえしてるし、みたいなところもあって。で、俺はわりとそれでいいと思ってるんだけどなっていうスタンスだったんです。

——“それでいい”というのは?

LITTLE:先行きに不安がないように確実に組み立てていくより、今日気持ちを通じ合わせてる方が大事な気がしてるというか。そう思ってここまでやってきてるし、まだそれが正しいと思ってる。とはいえ、自分の価値観だけで大切な人を幸せにできないっていうことも考え始めるわけで。でも、理想だったり夢だったり愛情をぶつけてるだけじゃいけないのかい?と。そんな感じの歌なんです。

——トラックはメロウでソウルフルだし、歌い方も実にエモーショナルですよね。こんな熱いLITTLEさんは珍しい。

LITTLE:感情をこんなに出したのは初めてかも。感情とテンション、どちらも思いっきりフルでぶつけていく歌い方をしてるから。トラックも、サビの歌詞がとにかく直球だし、ふざけてると思われたくなくて、いい舞台装置がないとそれが伝わらないかもしれないと思ってこういうものにしたんです。

——反対に楽しく聴けるのが「FUNKY ウーロンハイ」。SUPER BUTTER DOG「FUNKYウーロン茶」のカバーですが、この曲を作ろうと思ったのは?

LITTLE:ウーロンハイを飲んでるときだと思います(笑)。けど、本当2012年、2013年はいろんなものから解き放たれて、すごくいいお酒が続いてる毎日だったので。自然とカバーしてみようかなっていう流れになったんですよ。

——気の合う仲間と飲んでると無邪気にハイになれることを歌っていますが、《記憶にない名言がある》は見事なパンチラインですね。

LITTLE:ありますよね、これ(笑)。「昨日絶対良いこと言ってたよね、最後!」っていう。ただ、全然覚えてないんだけど(笑)。

——「Don’t worry Be happy Go Lucky~」には、“これこそ LITTLE”という印象を受けました。適度にポップな曲調もそうだし、短い音節のライミングを重ねていく小気味良いラップもそうだし。

LITTLE:これはすごい手癖で書いたんです。軽快なビートにターッとラップしてたら「できた!」みたいな曲だった。

——加えて、“実は根は暗いです”みたいなLITTLEさんの性格も伺える曲だなって。

LITTLE:だけど、俺はもしかしたらポジティブなんじゃないかって思ったときがあって。歌詞にも書いたけど《くよくよ考えても始まらない よくよく考えりゃ考えてない》っていう。くよくよ考えるけど、考えた結果、次の日それを行動に移さないなら、何のためにくよくよしたんだ?っていう(笑)。次の日にはなんとかなるって思ってるから、それもポジティブっちゃポジティブだなぁって。最近はわりとポジティブが嫌いじゃなくなってきた。むしろ大事って思うようになってきたんですよね。

——CUE ZERO、CHANEL、アルファ、アスタラビスタ、餓鬼レンジャー、ICE BAHN、DARTHREIDER等々、30名以上の男女ラッパー/シンガーが参加した「D.R.E.A.M」は、徐々にファンキーさが増していくマイクリレーが最高でした。

LITTLE:これは風営法のことをテーマに書こうと思って。警察がダメだとか、風営法反対!みたいなことを言うんじゃなくて、クラブのいいところをいっぱい言っていこうと。で、アルバム制作中にたまたま会った人とか、いつも飲んでる人とかに声をかけていったんです。

——最後に、本作を聴くリスナーにメッセージを。

LITTLE:聴いて感じることはすごくあるんじゃないかと思います。このアルバムは“今時の俺が感じたいろんなこと集”だけど、全体的に後味は悪くしないっていう気持ちで作ってたから。いっぱい感じて、いろんなことを考えるきっかけにして欲しいですね。

——今後はULのアルバムリリースも続くし、アスタラビスタもなにやら企み中だそうで、俄然、LITTLEさんの動きが活発になっていますね。ずばり今、上がってんの? 下がってんの?(笑)

LITTLE:上がってますよ(笑)。けど、変な力みはなくて。気持ちはフラット、制作意欲は高レベルって感じですね。

——このアルバムを引っさげてのワンマンライブもあるんですか?

LITTLE:俺の中ではやりたいと思ってるし、今、いろいろ考えています。そっちも楽しみにしといてもらえると嬉しいですね。

 



参加アーティストからのコメント


浜崎貴司
リトルのメッセージは男前だ!


リョージ・クルーニー a.k.a RYO-Z(from RIPSLYME / アスタラビスタ)
リッ君はアツいMCです。
どれほどアツいかはこの一枚を聴けばわかります。
トラック達もさる事ながらアルバム全編通しての愚直なまでに真っつぐなリリシストっぷり…
同期としては胸がアツくなるばかり。(江戸弁)

 
シム・ラ・ウシーロ a.k.a GooF(SOFFet / アスタラビスタ)
個人的にめちゃ楽しみにしてました。アカリタイトル1。アスタラ現場でもリトル君のリリシズムをバシバシ感じながらの作業は凄く刺激的で。
ソロ、UL、アスタラビスタと、必殺リトルバースはまだまだ続きそうですね。楽しみにしてます。祭りっしょ!!


ユタカ・バンデラス a.k.a YUTAKA(Full Of Harmony / アスタラビスタ)
髭の刺客、小さな巨人LITTLEがようやっと重たい腰を上げた。誰もが待ち望んでいたであろう今作は、言わずもがなこちらの期待なんぞ軽く飛び越えている。彼の生き様がそこには在る。でっかい愛を見せてもらったぜ!ビゴッマメ~ン!


カルロス・パコ a.k.a MASSATTACK(from SPONTANIA / アスタラビスタ)
リッ君アルバム「アカリタイトル1」リリースおめでとうございます!!やってくれました。。ヒップホップを聴いてあまり涙が落ちる事はそうないかもしれませんが、このアルバムは正にそれ。聴いた人の目の前にそっと灯りを照らしてくれるそんな素敵なアルバムになってます。もちろん今まで以上のノリノリなフロウと声は更に輝きを増している正に中毒的なアルバム!!これは必聴イッエッセっしょー!愛はある!


DJ ISO
(アスタラビスタ)

りっくんALBUM完成&発売おめでとう!
長い様な短い様な6年
待ってました!
さすがのリリシストっぷり
アカペラで聞きたいと思わせる数少ないラッパー
もう最高です!!
アスタラビスタとしても共にキャマそうぜ!



CUEZERO
また一つのトラックの上でLITTLEと混ざれたのはd.r.e.a.m(夢)のせい笑。
アルバム リリースおめでとうございます!


SHUN
LITTLEさん「アカリタイトル1」リリースおめでとうございます!
またLITTLEさんとラップができて、嬉しい気持ちでいっぱいです。
おれも負けじと必死でラップしてるんで是非、「ゲリラ豪雨」を爆音で聞いて歌って踊ってびっしょびしょになってください!!!!!


TAICHI MASTER
LITTLEのデビュー・ミニ・アルバム「いいの」を僕のレーベルからリリースしたのが何年だったか調べてみたら1998年だった。
あれから16年経ったけど、LITTLEとのコラボレーションは常に最新作が一番の自信作。
これからも、もっともっとヤバいの作ろうぜ。


TypoGraphics K.I.O
アルバム発売おめでとう!ジャケットのデザインをさせて頂きました。
デザインではファーストアルバム「いいの」から15年ぶりに、また関わる事が出来て嬉しいです!
楽しく描くことが出来ました。ありがとう!


Shingo.S
『愛はある』の中の「なくちゃならないものならある」ってラップする
リトルくん、最高にかっこいいです!
アルバムリリースおめでとうございます!!!


Hyrakane303
アルバム発売おめでとうございます!
みんなが楽しみに待っていたこんなアルバムに参加出来て光栄です。
韻の踏み方と、詞の表現方法は唯一無二。 これからも益々のご活躍をお祈りしています。


ヨースケ@HOME
リトルさんが灯した音楽のアカリ。
すごくあたたかい。
一緒に曲作らせてもらいながらすごく勇気づけられました。
色とりどりのトラックの中を縦横無尽にグルーヴしまくる
リトルさんのラップ、めちゃくちゃかっこいいです。
爽快で痛快で、たまりませぬ。
そしてなにより熱いソウルが込められたアルバム:) 必聴でございます!


副島ショーゴ(Tha Under Stars)
LITTLEさん、アカリタイトル1のリリースおめでとう御座います!
素敵なアルバムに参加する事が出来て本当に光栄です!
僕と相方のELECTRIC DANCE デュオ、Tha Under Stars (T.U.S.)で M-7、and you... M-8、ゲリラ豪雨 feat.SHUNの楽曲を作らせて頂きました。 「and you...」は初めてLITTLEさんと楽曲を作らせてもらった曲で、vocalデータをもらった時に、 グッとくるリリックだなぁ、と思いながらアレンジをしていました。最終的にすごく良い楽曲になったなぁ、と。 リミックスも作ってみたので、僕らTha Under StarsのSoundcloudでチェックしてみて下さい!
「ゲリラ豪雨 feat.SHUN」はアガれるダンスチューンになり、クラブでもバシバシかけれる楽曲に仕上がっています。 LIVEで、LITTLEさん、SHUN君でやったらアガるだろうなぁ 笑 と、今から楽しみです!
今回のアルバム、M1~最後のボーナストラックまで本当に良い曲達だらけです。 皆さん、是非聴いてみて下さい!


 

セルフライナーノーツ

1. all need is MUSIC
「DQNじゃねえ 超ド級だぜ」
この曲はトラックを聴いたときにまず、RAPしてみちゃったとこから、そのまま出来上がってしまったので、録るぞーっとの流れになりました。壮大なトラックにごりっと強めのRAPで始動の力にもなった曲です。

2. FUNKY ウーロンハイ
「記憶にない名言がある」
SUPER BUTTER DOGとウーロンハイへのリスペクトからできた「FUNKYウーロン茶」のカバーです。元々の曲のアッパーな感じに「ハイ!!」のかけ声がいい感じにPARTYアゲになったと思います。スタジオにはSUPER BUTTER DOGメンバーのTOMOHIKOも来てくれて貴重な時間でした。

3. おれたちの進化論
「この一歩は人類には小さな一歩」
長くいた環境を離れて、新たな場所で新たなチャレンジの一歩を踏み出す。
何も変わらないような日常の中で何かがどこかで生まれ、誰かが新たな決意をしてるんだなーと、、、そんな曲です。

4. おれたちのイマジン feat. 浜崎貴司
この曲はかなり昔から頭の中にあった曲で、その当時CMで「人間が想像できるものは実現できる」みたいなものを観て、うん、うん、そうだと思いました。けれども、いや、いや、待てよと、そんなにたいそうなことは考えてもいないのに身の回りのことすらままならないなあとも思いました。
そんな無力感から、それでも希望を渇望してる今みたいなものから、始まりました。浜崎貴司さんは昔から大好きだったので、MCUとのコラボのイメージが強いけど、好きな気持ちにまかせ、お願いしました。

5. いったいぜんたい
「格下格上隠したヴェール その下でプライドがまくしたてる」
あんなに嫌だった人とこんなに楽しくやれるとは思わなかった。
音楽のジャンルや地域、環境、違いはいろいろあるんだろうけど、すんごい遠くから見たらだいたい一緒なんだと感じたところから始めました。難しいことは多々、多々あるんでしょうが。

6. Don't worry Be happy Go lucky
「P.S. ポジティブシンキングしてますか?」
やたらポジティブなのって苦手かもなんて思ってたけど、嫌いじゃない、むしろ好きだとなった、そんな朝に深く考えず、内省的になる暇もなく一気に作りました。以前よりポジティブになれた気がします。

7. and you...
「それは思い出でもまぶしくて」
思い出してみれば、いつも一緒にいた。その相手の大切さに気づきはじめるのも、自分を通してじゃないとわからない身勝手な喪失感、そんなラブソングです。EDMみたいな曲にストーリーをのせてみたいと思ったのもきっかけになりました。

8. ゲリラ豪雨 feat. SHUN
「ゴロピカドン 渋谷でドン」
昨年の夏、ゲリラ豪雨に打たれてずぶ濡れになりながら、連呼してみると口気持ち良くてたまらなかったので、曲にすることにしました。SHUNは若くてイケメン、そして媚びないRAPがいいです。

9. 愛はある
「愛はある 金はない」
あくまでもフィクションですが、気持ちのはいった渾身のラブソングです。愛はあるんだ、愛はあるんだよ といった曲です。

[Bonus Track]
10. D.R.E.A.M

クラブの話をしたい。
自分の大切なもの、音楽だけじゃなく仲間や恋人、アイツもアイツもアイツもアイツもここで会ったんだって話を。
たまたま会って話をきいてもらったり、仲間が仲間を呼んで参加してくれたり、ひさしぶりの電話にもかかわらず受け入れてくれたり、参加してくれたみんなに本当に感謝です。無くなってほしくない楽しい場所の話をワイワイとやってるのに、みんながバンバンでてくると嬉しくてなんだか泣きそうになります。
この場を借りてあらためてありがとうございます。