うしおととら対談


Text by もりひでゆき

 

畠中祐 小高さんは元々、「うしおととら」のファンだったそうですが、原作の漫画も読まれていたんですか?

小高芳太朗 うん、読んでた。俺らが中高生くらいの時期に連載してた漫画だから、まさに潮と同世代の時期に読んでたっていう。なので、アニメもただのファンとして楽しませてもらってますね。

畠中 僕の場合、連載の途中で生まれた感じなのでリアルタイムでは触れていないんですけど、アニメにかかわらせてもらったことでその魅力に引き込まれたと言いますか。僕も含め、収録現場は熱く燃えてますね。

小高 「うしおととら」はとにかく絵の迫力がすごいよね。特に、出てくるヤツらの眼! アニメを観てても、そこに引き込まれる感じがある。

畠中 眼はほんとにすごいです。白面の眼なんて画面を飛び出して迫ってくる感じがありますからね。そういう絵の魅力がありつつ、潮が信念を貫き通して真っ直ぐに生き抜いていく姿にも僕はすごく惹かれるんですよね。

小高 うん。俺なんかはもうそういう潮に憧れとったからね。だからアニメになったときにどんな声なのかがすごく気になっとったけど、畠中くんの声はイメージ通りだった。ピッタリだと思うよ。

畠中 ほんとですか! 声がちょっと低すぎるとかいろんな意見をもらったりもしたんですけど、小高さんにそう言ってもらえるのはむっちゃ嬉しいです!

小高 今、普通にしゃべってる声とはやっぱり違うんやね。アニメの声はちゃんと潮が宿ってるというか。潮成分がしっかり入ってる。

畠中 そうですね。極力、声を作らないようにして演じてるんですけど、潮というキャラクターにはものすごい勢いがあるし、動きながらアフレコをしているので、普段とは違う声が出てるのかもしれないです。

小高 あー、でもそれはわかる。俺もね、「決戦前夜」のレコーディングのとき、別に意識はしてなかったし、いつもと同じように歌いよるんやけど、勝手に潮が乗り移っとって。聴き返すといつもよりも歌い方が荒々しいんですよ。勝手にそうなった(笑)。

畠中 だって、小高さんが書かれた歌詞からして「うしおととら」そのまんまですもんね。潮が槍を手にして目の前の敵と対峙するときの歌になってるから、クライマックスへと流れていく第3クールにピッタリだなって思いました。

小高 ありがとう。もうほんとにそのまんまの感じで書いた歌詞なんだよね。タイトルもまんま「うしおととら」にしたかったくらい(笑)。自分自身、この作品に思い入れがあるから、それくらい寄せたほうが一生の思い出になるなと思って。

畠中 愛が詰まってますよねぇ。「うしおととら」にドップリ浸かった人じゃないとこの歌詞は絶対に出てこないと思う。

小高 愛を注ぎすぎて一部ではネタバレって言われてるけどね(笑)。

畠中 あははは。いやでも、そんなん関係ないくらい潮の言葉として響いてくる、ほんとに素敵な歌詞だと思います。書くのに苦労はしませんでした?

小高 今回はね、書くことが思い浮かばないっていう苦労はまったくなかった。逆に書きたいシーン、書きたい言葉がたくさんありすぎて、それを選んでいくのが大変だったんだよね。

畠中 うんうん。それはアニメでもそうなんですよ。3クールという限られた話数の中で、どこをピックアップして、どう白面との戦いへ繋げていくかっていう大変さがあって。その取捨選択はひとつの課題だったみたいですね。

小高 「うしおととら」にはいいシーンがいっぱいあるからね。その中で俺は、大切な人の涙を止めるためだけに命を懸ける潮の強い思いとかっこよさを軸に歌詞を書いたんよ。サビなんかはもうそのことだけを歌ってる。

畠中 あーわかります。潮はほんとにそういうヤツなんですよねぇ。第3クールの最終決戦に向けて声優陣が強く言われてるのは、すべての動き、言葉に死の覚悟を持てっていうことなんですよ。こいつらのために命をかけるんだっていう思いを土台にしてすべての演技をしろと。そうしないと説得力が出ないし、白面には挑めないから。

小高 すごいね。そういう話を聞くとアニメの放送がより楽しみになる。

畠中 「決戦前夜」のサウンドに関してはどう作っていったんですか?

小高 今回は大隅知宇(ex.UNDER THE COUNTER)さんの曲がまずあって、それで勝負してほしいっていう話だったんですよ。だからいつもとはちょっと感覚が違ってたんだけど、逆にそういう縛りがあるからこそ「うしおととら」に思いっきり寄せられたような気もしてて。アレンジに関しても、LUNKHEADの王道ってどんなサウンドなのかなっていうことをあらためて考えながら作れたからすごく新鮮だった。

畠中 めちゃめちゃかっこいい仕上がりですよね!

小高 うちのベース(合田悟)も「うしおととら」が大好きだから、間奏のベースソロは白面が出てきて、襲い掛かってくるところを表現したかったんやって。確かにそう言われるとそういう画がすごい浮かぶんだよね。しかも、その後のギターソロは白面と戦ってる画が浮かんでくるものになってるしね。「みんなで戦ってるよ!」って現場では盛り上がったんやけど。

畠中 へぇ、そこまで具体的に考えてソロを作ってくださってるんですね。

小高 うん。まぁでもうちのギター(山下壮)は「うしおととら」の原作は読んでないから、そんなに考えてはいなかったと思うけどね(笑)。でも、すげぇソロを考えてくれたとは思います。

畠中 「決戦前夜」って、槍を持って本気の覚悟を持ってるときの潮のキャラソンみたいな感じもあると思うんですよ。

小高 そうやね。ロン毛のときの潮だね。

畠中 で、僕が潮のキャラソンとして歌わせてもらった「いつの日か旅の終わりに」は、槍を風呂敷に包んでるときの潮が想像できる曲になっていて。この2曲を聴くと、潮の二面性が感じられておもしろいなぁってすごく思ったんですよね。

小高 確かにそうだね。畠中くんのキャラソンも聴かせてもらったけど、ああいう歌い方をするのってきっと難しいだろうなって思った。なんて言うか、ちょっと上手じゃなく歌うっていうかさ。

畠中 そうですね(笑)。僕は元々、わりと音程をきっちり取って歌おうとするタイプだったんですけど、潮の場合はあえて外すぐらいな感じで。

小高 だってさ、潮が歌上手かったらちょっとイヤやもんね(笑)。

畠中 あははは。そうなんですよね。僕にもそういうイメージが漠然とありました。ある意味、すごく不器用なヤツだと思うから。

小高 それをちゃんと歌で表現してるのが素晴らしいよね。「潮が歌ってるよ!」ってちゃんと思えたから。で、ヒョウとか流なんかは実は歌がめっちゃ上手そうなイメージがあるじゃない? それもちゃんとキャラソンでは再現されてて良かったんだよね。

畠中 そうなんですよ。ヒョウの浪川(大輔)さんや、流の細谷(佳正)さんはむちゃむちゃ歌がお上手なので、そういうイメージにもピッタリだと思いますね。アニメのファンの方にはそういう部分でも楽しんでもらえるんじゃないかな。

小高 アニメはいよいよここから佳境になっていく感じよね?

畠中 そうですね。ラストで潮が放つ“あの言葉”を全力で言えるように、気持ちを高めていきたいなって思ってます。ノドがつぶれるくらいの覚悟で“あの言葉”を言ってやると思っているので、楽しみにしてて欲しいですね。

小高 おぉ! 一番楽しみにしてるヤツがここにおるからね(笑)。

畠中 あははは。制作陣も声優陣もみんなが一丸となって全力で白面と戦いますけど、それだけじゃまだ十分じゃないと思うんですよ。アニメを観て下さる方々も一緒に戦ってほしい。そうじゃないと白面には勝てないと思うので。

小高 その気持ちは俺もわかる。「決戦前夜」に対してのコメントとして、「うしおととらと一緒に戦える事が本当に嬉しいです」って書いたからね。一緒に戦うつもりでこの曲を作ったから。ラストまで一緒に戦いますよ。

畠中 熱量を高めて流れていくストーリーの中でうしおととらが貫いたものはなんだったのか。みなさん、それをぜひぜひ目撃してください!

 










 

■リリースインフォメーション

LUNKHEAD「決戦前夜」

2016年5月11日 発売  TKCA-74356 / \1,204+税
01. 決戦前夜
02. ユキシズク
03. 決戦前夜 [TV OA ver.]
04. 決戦前夜 [Instrumental]
05. ユキシズク [Instrumental]

V.A「うしおととら」キャラクターソングス

2016年5月18日 発売  TKCA-74361 / \2,200+税
01. いつの日か旅の終わりに/蒼月潮(CV:畠中祐)
02. 渇いた魂/ヒョウ(CV:浪川大輔)&秋葉流(CV:細谷佳正)
03. おかえり/中村麻子(CV:小松未可子)
04. 私のナイト/井上真由子(CV:安野希世乃)&とら(小山力也)
05. 終わりない道/かがり(CV:清水理沙)
06. 生きる証/キリオ(CV:潘めぐみ)
 
■ライブインフォメーション
LUNKHEAD ONEMAN TOUR~決戦前夜~
http://lunkhead.jp/content2/?category=6
2016年6月11日 (土) 梅田シャングリラ 【OPEN】17:30【START】18:00
2016年6月12日 (日) 名古屋ell.SIZE 【OPEN】17:30【START】18:00
2016年6月18日 (土) LIQUIDROOMebisu 【OPEN】17:00【START】18:00
チケット料金:前売¥4,000 D代別
問合せ:直球 http://lunkhead.jp/contact
 
 
 
TVアニメ「うしおととら」公式HP 
http://ushitora.tv/

LUNKHEAD オフィシャルサイト
http://lunkhead.jp/

畠中祐 所属事務所「賢プロダクション」 オフィシャルサイト
http://www.kenproduction.co.jp/member.php?mem=m78