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逗子三兄弟インタビュー



――1曲目の「開演」がまさに劇場の開演のような雰囲気ですし、アルバム全体がミュージカル的なコンセプトで作られているのが興味深いです。このアイ
ディアは、どういう経緯で出てきたんですか?

優己 「今回、制作期間が結構長くて。“これでいいのかな?”って悩んだ時期があったんです。だからそれまでに作ったものを1回横に置いて、“何をやったら自分たち自身も含めてワクワクできるか?”というのを考えました。そこで思いいたのが、“自分たちの音楽の固定観念みたいなものから一旦離れて、何かしらの発想からアルバムを作ってみよう”っていうことだったんです。そして出てきたのがミュージカルっていうアイディア。“今の時代にパラパラ風なの?”ってものだったり、童謡的なものだったりっていう曲が生まれたのも、そういう発想があったからですね」

――大雅さんは、今回のアルバムに関してどういうことを考えていました?

大雅 「僕が今回考えていたのは1点。逗子三兄弟は活動を続けてきた中でマニュアルのようなものを積み重ねてきた部分もあったんですけど、それを一旦壊したかったっていうことですね。それに関して僕は、“ボーダレス”っていう言い方をしているんですけど。“ジャンルレス”っていうことではなく、線をなくしていくイメージ。例えば僕らはヒップホップとかR&Bとかレゲエとかがルーツにあって音楽を始めたというよりは、生まれてからずっと触れてきたいろんな音楽によって育てられて、今があるんですよね。そうやって培われた様々なセンスのぶつかり合いが逗子三兄弟。僕らが今まで描いてきた“湘南”とか“海”っていうボーダーすらも取っ払って、“三兄弟”っていうところから生まれる音楽性をより色濃く出したのが今回のアルバムですね」

――翔馬さんはいかがですか?

翔馬 「“ヒップホップをしたい”とか“ラップをしたい”とか“ロックをやりたい”とか、そういうのは“その音楽をやりたい”っていうことじゃないですか。もちろん僕らも音楽をやっているわけですけど、それとは違った感覚なんだと思います。僕らは例えば“家族でやってる”とか“兄弟でやってる”ってことを音にしようと考えたりもしますし。そういう部分が強いのが今回のアルバムだと思います。だから大雅が言った“ボーダレス”って言葉を使うなら、“音楽”っていう枠すら取っ払ったっていうことなのかもしれないですね」

――ミュージカルっていうことでふと思い出したんですけど、優己さん、去年ニューヨークに行ったじゃないですか。ブロードウェイでミュージカルを観たりしたんですか?

優己 「観ました。演出も含めて、ミュージカルってすごいと思いましたよ。今回、こういうアイディアが出たのは、そういう背景もあったということですね。あと、僕らは2月にホールワンマンをやったんですけど、その時に託児所を設けたんです。僕らのお客さんは子連れの若い夫婦も多いので。その時、託児所で僕らが歌う童謡を流したんですけど、童謡の深さをすごく感じて。そういう経験も今回のアルバムに繋がっています」

――なるほど。では、収録されている曲のお話に入りましょう。まず、「三匹の子ブタ」が新鮮でした。サウンドがビッグバンドジャズのテイストですし。逗子三兄弟のスピリットが反映されている歌詞も沁みます。

大雅 「この曲は決意表明です(笑)。三兄弟のミュージカルの一座としてエンタテインメントを構築する上で、“僕らは3人の兄弟である”っていうのを表現する方法を考えたんです。そこでひらめいたのが『三匹の子ブタ』。あの物語に出てくるのも三兄弟ですからね。それを僕らなりに料理しました

――特定のシーンにどっぷり浸かるのではなく、我が道を行くスタイルも表明していますけど、これはまさに逗子三兄弟の姿勢ですね。」

大雅 「はい。シーン云々とかよりも、“この三兄弟で音を奏でている”っていうユニットですから。何らかの音楽にハマってその音楽を掘り下げて活動をするカッコよさもありますけど。でも、逗子三兄弟が今に至るまでのプロセスって、そういうのとは違うんですよね。僕らは子供の頃から音楽が遊び道具として存在する環境で育ちましたし」

翔馬 「そういう環境でなんとなくやっていた時期を経て、自然と音楽を本格的にやりたいと思うようになったんです。だからシーンとかジャンルとかって、なんとなく僕らとは畑違いであるという感覚があるんですよね」

優己 「これは書かなくていいことですけど、元を辿ると僕が彼(大雅)をこの音楽の世界に引っ張り込んだんです。それから10数年経っても続いているのが逗子三兄弟(笑)」

大雅 「今の話、そのまま書いてください(笑)」

――(笑)「三匹の子ブタ」は、紅白歌合戦にいつか出たいという気持ちがダイレクトに描かれているのも興味深いです。先日のワンマンツアーの時も、タイトルでその目標を掲げていましたよね?

大雅 「はい。そういうの、どんどん言っていこうっていう気持ちになっています。それくらい自分たちを追い込んでやろうと思うようになっていますので」

――「情熱の太陽」からも、熱い想いが伝わってきます。

大雅 「このアルバムで最初に作った曲です。今回、1曲毎にやりたいことが明確にあって。「情熱の太陽」に関しては、アコースティックとEDMの融合を作ってみたいということも考えていました」

優己 「僕らはやりたいことに向かって一直線で向かっているつもりですけど、やっぱり上手くいくことばかりじゃないですからね。悔しい想いをすることもあるし。でも、“俺たち、兄弟でやっててよかった”って最後に言えるように必死こいてやっているんです。そういうのがそのまんま出ているのが「情熱の太陽」かもしれないです」

――リスナーの心を奮い立たせるものにもなっていますよ。

優己 「応援歌を書くっていうより、僕ら自身に向けた曲ですね。よく言われることですけど、頑張っている人って、誰かから何かを言われるまでもなく頑張っている人なんですよね。だからそういう人に向けて“頑張れよ”って歌うよりも、“俺たちもこうやって頑張ってる。お前も自分の道で頑張ってるだろ?”っていう感じで、自然と自分と照らし合わせて聴いてもらえたらいいなと思うんですよね」

――この曲、ライブでも盛り上がると思います。盛り上がるといえば「サマーウルフ・エボリューション」もすごいですね。サマーウルフのシリーズは第3弾?

優己 「そうなりますね。こういうのも僕ららしいと思うんですよ。1回やったことは出さない人もいると思うんですけど、僕らは“だって、サマーウルフをもっと歌いたいんだもん”って(笑)」

翔馬 「こういう曲を作る度に思うんですけど、“BPMが速いだけがアップじゃないぞ”っていうのもありますね」

大雅 「アップの曲は頭で考えるのではなく、感覚的にカッコよさを探してアプローチするのが大事。この曲も思いっきり振り切りました」

――「そうだCLUBへ行こう~サラリーマンVer.~」も、もしかしたらシリーズ化するんですかね?

大雅 「求められたらそうなるかもしれないです(笑)。この曲、パラパラですけど、僕が提案しました。クラブで今、EDMが流行っているじゃないですか。それが癪だったんですよ。“俺がクラブによく行っていた頃は、これだぜ!”っていうのを出して、新鮮なものにしたかったんです。これも振り切りました。僕の30年間の中の最高傑作かと(笑)」

優己 「“今の時代にパラパラだぜ。すげえバカじゃない?”って言ってもらうのも面白いなと思ったんですよね(笑)」

翔馬 「僕はパラパラを現場で体験した世代ではないですけど、こういう音楽も僕らが考えるボーダレスっていうものになっていると思います。まさに“発想を音にする”ってことをやった曲なので。大雅からの提案は“ユーロビートをやろうぜ”っていうものではなく、“パラパラ踊りたいから、そういう音作らない?”っていうものだったんですよ」

――翔馬さんのおっしゃる“発想を音楽にする”って、逗子三兄弟の音楽の重要なキーワードかも。例えば、「MAGIC in SUMMER」とか「Sweet Summer Story II」も、そういう曲として挙げられると思います。夏の青春の風景が何よりも鮮やかに伝わって来ますから。

大雅 「僕らはノスタルジーみたいな部分も大切にしているので、こういう曲が出てくるんだと思います。「MAGIC in SUMMER」のガヤはお客さんの声なんですけど、それも雰囲気を作る上で良かったと思います。ワンマンライブの時のアフターパーティーでマイクを立てて録ったんですよ」

――そういえば、「Sweet Summer Story II」もシリーズですね。第1弾の「Sweet Summer Story」って、「サマーウルフ」をシングルで出した時のカップリングでしたっけ?

翔馬 「そうです。これ、なんで今回作ることになったんだっけ?」

大雅 「今回のアルバムって“ここからが俺たちの新しいスタートだぞ”っていう想いもあったからこそ、「サマーウルフ」や「Sweet Summer Story」みたいなものを今の俺たちがやったらどうなるのかを示したかったんですよね。「Sweet Summer Story II」で描いたような甘酸っぱい夏物語って、逗子三兄弟らしいところでもあるし」

――逗子三兄弟らしさに関しては、胸に沁みるラブソングも欠かせない部分ですが。

優己 「ラブソングは今回、少なめなんですかね? まあ、意識したわけではないんですけど」

――ラブソングの「マリミー」と「One Room」、すごく光っていますよ。

優己 「ありがとうございます。「One Room」は、僕らが生まれ育った町の空気感をギュッと詰め込んだ曲の代表的なものかもしれないですね。」

大雅 「「One Room」の楽器、全部湘南で生で録りました。ちゃんとしたスタジオだと、このニュアンスは出ないんですよ」

――「マリミー」は、大胆な大ネタものでもありますね。「結婚行進曲」を引用していてビックリしたんですけど。

翔馬 「ベタですけど結婚といったらこれなのかなと(笑)」

優己 「こういう音になっているというのもあって、気取っていないプロポーズの歌になったのかもしれないです」

翔馬 「この曲のコーラス、歌を100本くらい録って重ねているのもポイントです。祝福されている感じを音としても表現したかったので」

――みなさんの音楽って、物語性もすごくありますよね。「One Room」や「マリミー」もまさにそうだし、あと「友よ幸せになれ」も情景がリアルに浮かびます。

優己 「友達の結婚式って、昔つるんでた頃のことを考えたりすると感慨深いものがありますからね。「友よ幸せになれ」は、そういうことを考えながら作りました」

――「キミナビゲーション」は、物語性のある作風がすごくスタイリッシュに出た曲なのかなと。これ、描写が文学的でもあるし。

大雅 「こういうのは優己が得意とするところですね」

優己 「大人の恋愛模様を描きたかったんです。情景が浮かぶものにしたいということも思っていました。これ、実はすごく古い曲なんですよ」

大雅 「逗子三兄弟を組んで2曲目くらいじゃない?」

優己 「うん。多分、それくらいの時期だね」

大雅 「昔作ったものを今回ブラッシュアップしました。音に関しては、聴きやすいイージーリスニング的なものを目指しましたね」

――カフェで流れると似合いそうです。ちょっと余談ですが……翔馬さん、隠れ家的なカフェを探すのが好きじゃないですか。この曲はどうでしょう?

翔馬 「こういう曲が流れる店、良いですね。でも、僕が行くお店で逗子三兄弟の曲が流れると、落ち着かなくて僕の隠れ家ではなくなる気がします(笑)」

――(笑)すみません。完全に余談でした。作風の新鮮さという点だと、童謡の「なにかこう」が印象的です。先ほど話して頂いた通り、託児所で童謡を流したのが制作のきっかけ?

大雅 「それもありつつ、優己には娘がいるので、小さい子にも聴いてもらえる歌を歌いたいと思ったというのもあります。あと、託児所で流す曲のミックスや編集をやった時、童謡の深さをすごく感じたんですよ。誰でも分かる言葉だけど、いろんな想像が無限大にできるのが童謡。すごく文学的なものを感じたので挑戦したくなったんです」

翔馬 「童謡って少ない言葉数でストレートに投げかけるじゃないですか。「なにかこう」も、そういうものを目指しました。歌詞は助詞にもこだわって書いています。聴いてくれる人それぞれで、いろんな解釈をして頂けたら嬉しいです」

優己 「作るのは本当に難しかったです。こういうものは、考え過ぎて書くと嘘くさくなりますし。そういえば、うちの娘、きゃりーぱみゅぱみゅが好きなんですよ。きゃりーぱみゅぱみゅも童謡に通じるものがあるのかも。僕の娘、テレビできゃりーぱみゅぱみゅが流れると一緒に歌うんですけど、“俺たちの歌もそうやって歌って欲しいな”っていうことも思っています(笑)」

――(笑)娘さん、逗子三兄弟の曲は歌わないんですか?

優己 「まあ、歌ってくれないですね。“男の人の声だから嫌だ”とか言って(笑)。まあとにかく、童謡って深いです。“何気ない言葉に意味をどう持たせるか?”が重要なんですけど、そこをいろいろ考えました」

大雅 「僕らが歌って説得力を持つ童謡にもしたいと思っていましたね。「なにかこう」は、お父さんとお母さんという家族を子供目線で描いた曲ですけど、僕らが作るならやっぱりこういうテーマなのかなと」

――“家族”って、みなさんにとって大きなテーマですよね。「父へ」や「ありがとうのうた」を聴いて、それを改めて強く感じました。

大雅 「これこそ僕らが歌わないとダメだろという想いもありますから」

優己 「生まれ育った湘南の風景や夏を伝えることもできますけど、それは僕らと同じ環境で暮らしてきた人だったら誰でもできること。でも、家族の良さって、実際に家族同士で組んでいるグループじゃないとなかなか描けないと思うんですよ」

翔馬 「僕らはこれまでも家族のことをいろいろ歌ってきたんですけど、「父へ」と「ありがとうのうた」に関しては、僕らのリアルが色濃く出ている曲ですね。そこも個人的にすごく印象的です」

――さて。『湘南ブロードウェイ』の全体について語って頂きましたが、今後の活動に関して見据えている目標とかはあります?

大雅 「やっぱり紅白ですね。それを目指しつつ、もっともっと僕らにしかできないこと、僕らしかなれないアーティストを追求したいです。そういう上でも、『湘南ブロードウェイ』は最高傑作。このアルバムによって逗子三兄弟のことをさらにたくさんの人に知ってもらって、愛してもらえるようにやっていきます」

優己 「行きたい場所は、やっぱり紅白。僕らはそもそも“国民的三兄弟になりたい”っていう気持ちが何よりも強いんです。だから、まずはあそこに行かないと。今ってアーティストも含めて“俺たち、こうなりたいんだよね”って言うのをカッコいいとしない風潮もありますけど、そこに対して“じゃあ何のためにやってるの?”と僕らは思っているところもあるんですよね。だから僕らは“ここに行きたい! 行くために今日も明日ももがいていくぜ!”っていうのを続けていきます」

翔馬 「今、2人が掲げた目標に向かって進みつつ、さらにいろんなことをやってワクワクしていきたいです。僕ら、幅広い年代の人に楽しんでもらえる音楽をやりたいということも常に思っていますし。そして、ライブの現場でも音楽を良い形で届けていきたいです」


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