2nd ALBUM『結晶』リリースインタビュー!

――2020年9月にミニアルバム『call for love』でメジャーデビューを果たしてから約2年。コロナ禍で思うように活動できないもどかしさもあったかと思いますが、振り返ってどんなことを思いますか?

「「それまで当たり前のようにできていたライブがなかなかできなくなってしまった期間は、やっぱりやりきれなさや先の見えない不安はありました。ただ、デビュー作であるミニアルバム『call for love』、フルアルバム『Blue×Yellow』をリリースさせていただくことはできて。そうした作品たちに救われた2年間だったし、自分が生きた証をちゃんと残せたことは本当にありがたいことだな、と感謝しています」

――何事もとらえ方次第、なのですよね。

「そうなんだと思います。もちろん、コロナ禍になってよかったというわけでは決してないですけど、どうにかピンチをチャンスに変えようと頑張ってきた2年間ではあります」

――そういうハナフサさんの歌声は、苦境に立つ多くの人の希望や救いになってきたことと思います。

「そうなっていたら、嬉しいです」

――――ハナフサさん、もともとポジティブな人なのでしょうか。

「いや、だいぶネガティブです(苦笑)。でも、ネガティブなままでいるとどんどん病んでしまうので……シンガーソングライターとしてやっていこうと決めたあたりから、ずっと自分の中でポジティブを“飼う”ようにしていて。根がネガティブだからこそ、それを打ち消すくらいのポジティブな言葉を発して前向きでいたい、という気持ちは強くあります」

――ポジティブを“飼う”、見習いたいです。さて、2022年10月19日には前作から約1年ぶりとなる2ndアルバム『結晶』をリリースされるわけですが、『call for love』『Blue×Yellow』、そして今回の『結晶』と、作品ごとにヴィジュアルイメージが大きく変わっていることにまず驚いております。

「毎回、別人みたいですよね(笑)。アーティスト名表記を漢字からカタカナにして、“前進”をテーマにキャッチーさを前面に押し出したのが前作『Blue×Yellow』だったんですけど、今回の『結晶』は深みのある作品にしたい、という想いがありまして。2021年10月に配信リリースした医療従事者応援ソング「感謝の手紙」が縁をつないでくれたスタイリストさんのおかげもあり、今回はまた全然違う自分になれました」

――しばらくハナフサさんのトレードマークだったメガネを外して、コーデもリップも赤色。凜とした“美”が鮮烈です。

「“美”を意識して透明感を追求しながら撮影したので、そう言っていただけて嬉しいです。“結晶”という言葉のイメージそのまま、雪のような白い衣装も着ていて、それはCDのブックレットを開くと見ていただくことができるんですけど、赤い衣装の写真をメインに選んだのは、“人生”をテーマにした『結晶』という作品が持つ“生命力”を視覚的にも表現したかったからなんですよ。私の歌を愛してくださる方、私の活動を応援してくださる方の力をお借りしてひとつの結晶として輝いている。それを示す1枚になったな、とも思います」

――響かせる歌声、紡ぐ言葉に、ハナフサさんの芯の強さを感じることができます。と同時に、新たな一歩を踏み出そうとするとき、嬉しいとき、恋するとき、哀しいとき、迷えるとき、苦しいとき……まさにさまざまな出来事や感情が織り成す“人生”に寄り添ってくれるような1枚でもあるなと。

「みなさんに寄り添えるような曲を書く、というのは自分がずっと貫きたいと思っていることで、今回はさまざまなドラマに彩られたひとりの人生を描くような1枚にしたかったので。その言葉も、ありがたいです」

――幕開けを飾るのは、戦争を目の当たりにした今、大切な人の幸せを願い、正面から<LOVE & PEACE>に向き合う「この美しい世界で」。どうしたって、心打たれます。

「「この美しい世界で」は、前作『Blue×Yellow』をきっかけに生まれた曲なんですよ。タイトルにしたカラー、青と黄色は……」

――あ、ウクライナの国旗カラーですね。

「そうなんです。リリースはウクライナ侵攻の4か月前で偶然のことではあったんですけど、なにか自分にできることはないか、と考えて。世界平和を唱えるほどの力はなくても、自分に近しい人、自分にとって大切な人の幸せを願っていけば未来につながっていくはず。「この美しい世界で」には、そういう希望を込めました」

――<あなたがいない世界に色はない 意味もない>と言い切って。聴く人それぞれに、大切な<あなた>を重ねることができます。

「私だったら、家族や友達、制作チーム、応援してくださる方たち……ひとりでも欠けたら<世界に色はない 意味もない>と思うし、そういう大切な存在がみなさんにもきっといるんじゃないかなって。アレンジに関しては、ひとつひとつの楽器が軽やかに遊んでいたり、なめらかなヴァイオリンが響いていたりして、聴くたびに新たな発見をしてもらえると思います」

――作品全体を見渡してみると、アコースティックギターやストリングスやピアノを用いた楽曲それぞれのアレンジが実に色彩豊かですよね。ハナフサさんとしては、どんな点にこだわったのでしょうか。

「楽曲それぞれどんな雰囲気にしたいかをアレンジャーさんにお伝えして、仕上がってきたアレンジに対しては、たとえばヴァイオリンのメロディと歌声の混ざり方を意識してアイデアを出したりとか。「アネモネの果て」では、メロトロン(1960年代に開発された磁気テープを再生して演奏するキーボード。サンプラーの元祖的な存在)という楽器を全編で取り入れたんですけど、独特の哀愁感が曲にすごく合うな、と思って配合多めにしてもらいました」

――その「アネモネの果て」、歌い出しの低めの声からサビのハイトーン、ファルセットまでだいぶ音域が広いですよね。

「そうなんですよ。高いキーが得意な女性シンガーが多いと思うんですけど、私は声に厚みが出る中音域が得意なんだ、ということを最近意識し始めて。「アネモネの果て」のAメロの1音は、だいぶ低いんです」

――また、「だらしない」「アネモネの果て」「Instinct」はドラマ『今夜、わたしはカラダで恋をする。』全3話それぞれの主題歌として書き下ろしたナンバーであり、2022年3月にデジタルシングルとしてリリースされましたが、今作であらためて、恋愛にまつわる歌詞の生々しい言葉たちにドキっとさせられます。

「その3曲は、ドラマの映像が出来上がったあと、1週間で1曲作るくらいのタイトなスケジュールでの制作だったんですけど、1話20分のエピソードに対して1曲を書くにあたり、主人公の気持ちを自分なりに深く掘り下げていったんです。確かに、これまでの自分だったら出てきていない言葉、具体性のある描写がたくさん詰め込まれているし、自分の新たな扉を開けてくれた曲たちだな、と思います」

――誰かを一途に想ったり、翻弄されたり、自分をさらけ出したり。そういった恋愛模様をリアルに描いたことで、またご自身がこれまで歩んできた中で、恋愛観に変化が起きていたりはするのでしょうか。

「恋愛に対して向き合っていたのって高校生のときくらいで、ここしばらくは音楽第一、仕事第一なので、そう聞かれるとちゃんとお答えできそうにないんですけど(苦笑)……人生観は確実に変わっていると思います。昔は、もっといい子ちゃんやったというか。それこそ『call for love』のころなんかは、ちゃんとしなきゃ、って周りに気を遣いすぎていたんですよ。でも、私はもともと頑固で自分を曲げるのも得意じゃないので。もちろん、謙虚でいることは大事。それは大前提として、媚びを売るみたいなことは自分にはやっぱりできないし、我が強くなりました」

――表現者にとって、我の強さ、エゴは必要不可欠なものでもありますよね。

「それは、ずっと表現を続けている方々を見ていても、実際に自分がメジャーのフィールドに足を踏み入れてみても感じたことであって。自分のやりたいこと、伝えたいメッセージがあるからやっていけるし、そうでなければここにはいられないんですよね。最近は私も、「肝が据わってるね」って言われるようになりました(笑)」

――気丈夫なハナフサさん、かっこいいです。ところで、<温めてきた恋は 今やっと名前を変える 2 人の手で>と歌う「Instinct」のあとに<恋におちて愛を知った2人>が結婚する「Happy Wedding」があって、この2曲の<2人>は同じであるという解釈もできるな、と思ったのですが……。

「まさに、そういう流れです。「Happy Wedding」は私の兄の結婚式のために書き上げた曲なんですけど、曲順を決めるときに、<恋におちて愛を知った2人>が一緒に新たなスタートラインに立つ、というストーリーは絶対に崩したくなくて。今回のアルバムってただハッピーな曲がなかなかない中で、シンプルに2人の幸せを願う曲でもあります」

――<君はスイマー 生きづらいこんな世の中を必死で泳ぐ姿は>と必死にもがく「スイマー」もあったりいろいろ乗り越えてきたわけ、本当によかった、おめでとう!と言いたくなります。

「「スイマー」はだいぶ苦しいですよね。でも、みんなが溺れないように、私自身も溺れないように、自分の幸せを探していこうよっていう」

――<君が選んでいいんだよ 間違いなんてないんだよ 幸せの価値はいつでも自分で決めていいんだ うまく泳げなくていいよ 浮かんでいるだけでもいい 幸せになるために産まれてきた>という全肯定の言葉にも、力をもらえます。

「そうであれば、嬉しいです。作品を手に取ってもらうだけの説得力がないといけないし、そのために音楽や言葉や自分にとことん向き合って、誰かの心を動かすようなきっかけをひとつでも多く詰め込みたい。そういうことを、今作でよりいっそう考えるようになりました」

――「話をしようよ」の<もっと話をしようよ息が届く間に>というフレーズなんかは、人と人が気軽に会えなくなってしまったコロナ禍を経験した多くの人の切実な願いと重なるでしょうし。

「今の時代、SNSで簡単に言葉を交わすことができてしまうんですけど、直接会って話す時間がなくなってしまうのはやっぱり寂しいことで。もし別れまでの時間が限られているとしたら、面と向かって話をする時間を大切にしたいし、みんなにも大切にしてほしい。より多くの人に当てはまるような言葉選びをしながら、ありふれた別れの歌ではなく、大切な人と同じ時間を感じて生きていきたい、そういう願いを託しました」

――かと思うと、「メリーゴーランド」には<太陽も月もさ 頼んでもないのに 追いかけてくるし 昨日がまだ手を離さない>など、焦燥感が満ちていますよね。

「「メリーゴーランド」では、闇堕ちしてしまったというか。でも、人生を描く以上、誰にでもこういう瞬間はあるんじゃないかな、と思うんですね」

――そうですね、きっと避けては通れません。

「それを受け容れるのか、なんとか抗おうと闘うのか、それは人それぞれ。どんな曲も最後は光射すようなものにしたい、というのが私の想いなんですけど、「メリーゴーランド」に関しては敢えて光を見出さないまま終わらせました」

――それでいて曲調は明るく軽やか、というのがまた闇深いというか。

「そうなんですよ(笑)。最初は暗い曲調に持っていこうとしていたんですけど、「メリーゴーランド」というタイトルで多くの人がイメージするのは明るい情景だろうし、それに合わせて曲調も明るくしたほうが聴き手が受け取りやすいんじゃないかなと。でも、楽しいメリーゴーランドもずっと乗っているとしんどいはずだし、明るいようで実は暗いことを言っているというちぐはぐ感が、そこにはあるんです」

――その上での、「夕焼けカタルシス」。ていねいな爪弾きと歌声は、タイトルが示すように心を浄化してくれるものだなと。<自分だけの特別を探しても見当たらなくて>も、<誰かの声や周りに戸惑うのは向き合ってる証だから 間違いじゃないよ>と、背中を押してもらえたりもします。

「「夕焼けカタルシス」のアレンジャーさんは初めてお願いした方なんですけど、クラシック畑の方だけに壮大で深みのあるアレンジにしていただけて。闇堕ちしたとしても、きっとあなたなら立ち直れる。そういう想いもあって、「夕焼けカタルシス」を最後の曲に選びました。」

――ほかにも、えんぴつを人生になぞらえた「えんぴつ」や、悲しみ色を癒す優しさ、温かさをたたえた「透明」など、ハナフサさんの歌声、言葉、感性は本当に無比だなと思うのですが……どういうインプットがあってそういったアウトプットができるのでしょうか。

「私は漫画が大好きなんですけど、これまで読んできた作品から得ているものはすごくあるだろうし……好きな漫画の主人公をイメージして歌詞を書くこともあります」

――妄想を膨らませながら。

「妄想するのってすごく楽しくて、脳内で世界がどんどん広がるんですよ(笑)。あと、日常の小さな出来事をメモするようにしていて。そういう積み重ねが、アウトプットの源になっているのかもしれません」

――そうすると、これからも表現したいことが尽きないですよね。

「そうですね、まだまだ描きたい世界があふれてくるんだろうな、と思っています」

――ちなみに、『結晶』の制作を通して新たに見つけたもの、気づいたことはありますか?

「『結晶』には自分の“好き”が詰まっているな、ということはすごく感じていて。自分を重ね合わせることができる大切な作品にできたし、だからこそたくさんの人に届けたいです」

――その先、ハナフサさんが思い描く夢は?

「書き下ろし曲をたくさん作りたいし、楽曲提供をしてみたいし、CMソングを歌ってみたいし、挑戦したいことはたくさんあるんですけど、以前から変わらない夢は、日本武道館のステージに立つことです。“聖地”と呼ばれる場所に立てるような人間、アーティストになれるように、音源制作やライブをはじめひとつひとつの活動に真摯に真剣にていねいに向き合っていきたいな、と思っています」





 


■「この美しい世界で」楽曲先行配信中→配信はコチラ

ハナフサマユ 公式HP 
徳間ジャパン ハナフサマユInformation

リリース情報!
■2nd ALBUM『結晶』
発売日:2022年10月19日(水)
価格:2,500円(税込) 品番:TKCA-75125  
<収録曲>
M1. この美しい世界で(※ABCテレビ2022年10月度「ABC PICK UP! MUSIC」)
M2. えんぴつ
M3. 透明
M4. だらしない (※ABCテレビ ドラマ「今夜、わたしはカラダで恋をする。」episode1主題歌)
M5. アネモネの果て (※ABCテレビ ドラマ「今夜、わたしはカラダで恋をする。」episode2主題歌)
M6. スイマー
M7. Instinct (※ABCテレビ ドラマ「今夜、わたしはカラダで恋をする。」episode3主題歌)
M8. Happy Wedding
M9. 話をしようよ
M10. メリーゴーランド
M11. 夕焼けカタルシス
<ボーナストラック>
M12. 感謝の手紙 (※2021年・2022年度全国カラオケ事業者協会「カラオケ文化の日」事業)
M13. 感謝の手紙 instrumental

NEWライブ/イベント情報!

■「明治村音楽祭」  
日程:10月16日(日)  
場所:博物館 明治村 ※施設内の札幌電話交換局付近特設ステージ / 呉服座
※ハナフサマユの出演会場になります。同日2会場出演。

■「リリース記念 ミニライブ&特典会」  
日程:10月19日(水)①19:00~ / ②20:00~  
場所:HMV グランフロント大阪店 グランフロント大阪うめきた広場B

■「リリース記念 ミニライブ&特典会」  
日程:10月21日(金)19:30~  
場所:タワーレコード梅田NU茶屋町店 6Fイベントスペース

■「リリース記念 ミニライブ&特典会」  
日程:10月23日(日)13:30~  
場所:タワーレコード高槻阪急店 高槻阪急5F屋上広場

■「FM802 FANKY MARKET」  
日程:11月6日(日)  
場所:万博記念公演 自然文化園 お祭り広場・下の広場

■「リリース記念 ミニライブ&特典会」  
日程:11月6日(日)19:00~  
場所:タワーレコード渋谷店 5Fイベントスペース

■「You & Me」  
日時:11月25日(金)  
場所:Live House Pangea